サマリー
ヒューマノイドロボットが「歩く」段階から「手で作業する」段階に進むにつれ、注目が集まっているのが多指ロボットハンド(Dexterous Hand)です。この分野で急速に存在感を高めているのが、北京発のスタートアップ 灵心巧手(LinkerBot/リンカーボット) です。本記事では同社の概要、製品ラインナップ、そして市場の反応をまとめます。
会社概要
正式名称:灵心巧手(北京)科技股份有限公司
設立:2023年
本社:中国・北京市海淀区
事業:高自由度ロボットハンド、遠隔操作システム、動作データ基盤
公式サイト: https://www.linkerbot.cn/
設立からわずか2年あまりの若い企業ですが、「ロボットハンドの専業メーカー」として自社設計の関節モジュールと高性能ポリマー素材を武器に、量産で先行しています。ハンド単体の販売にとどまらず、遠隔操作システム「Open TeleDex」や、動作スキルのソフトウェア基盤「LinkerSkillNet」を提供し、具身AI(Embodied AI)の学習データ収集までを一気通貫で支えるのが特徴です。
製品ラインナップ
Linker Hand シリーズは、6自由度の普及モデルから20自由度超の研究向けモデルまで、用途に応じて選べる構成になっています。Hope-Robot mall で取り扱い中の主なモデルは次の4機種です。
モデル | 自由度 | 重量 | 指先力(親指) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
Linker Hand O6 | 6能動 + 5受動 | 約370 g | 20 N | 軽量・高把持力の普及モデル。同社は「従来比10倍の耐久性を1/20 |
Linker Hand L6 | 6能動 + 5受動 | 約607 g | 12 N | コンパクト設計、開閉応答0.35秒 |
Linker Hand L20 | 16能動 + 5受動 | 約1.2 kg | 14 N | 圧抵抗式触覚センサー標準、視覚・静電容量センサー拡張に対応 |
Linker Hand L30 | 17能動 + 4受動 | 約1.4 kg | 4 N | 腱駆動による高応答(約440°/s)。精密操作・研究向け |
全モデル共通で繰り返し精度 ±0.2 mm、CAN / RS485(L30 は CAN FD)による制御に対応し、SDK が提供されます。各モデルの詳細スペックと参考価格は製品ページをご覧ください。
- [Linker Hand O6]
- [Linker Hand L6]
- [Linker Hand L20]
- [Linker Hand L30]
マーケットの反応
出荷実績が突出している。 同社は2025年12月に累計出荷1万台を発表し、月間最大出荷は4,000台超、月産能力は1,000台以上と公表しています。高自由度ロボットハンド市場における世界シェアは80%超とされ、この分野では事実上のデファクトになりつつあります。2026年の出荷目標は5万〜10万台です。
資金調達も加速。 2025年4月以降の累計調達額は1.5億米ドルに達し、2026年2月にはシリーズBで約15億人民元(約375億円)を調達。さらに同年4月のシリーズB+では評価額30億米ドルとなり、次回ラウンドでは60億米ドルの評価額を目指していると報じられています。資金は研究開発チームの倍増と生産能力の拡張に充てられる計画です。
大手メーカー・研究機関が採用。 サムスン、シーメンスといった産業大手のほか、スタンフォード大学、MIT、ケンブリッジ大学、清華大学などの研究機関が同社のハンドを採用しています。研究者向けの「Scholar Program」を通じて学術コミュニティとの連携を広げ、オープンなエコシステム「LinkerWorld」の構築も進めています。
日本企業にとっての意味
ロボットハンドは、これまで研究用途では1台数百万円が珍しくない領域でした。LinkerBot の量産化によって、6自由度クラスであれば手の届く価格帯で調達できるようになり、以下のような用途で検討が現実的になっています。
- 産業用アーム先端の多品種ピッキング・組立
- 遠隔操作(テレオペレーション)による危険作業・遠隔作業
- 具身AI・模倣学習の研究用データ収集
- 介護・家庭支援ロボットの試作
一方で、国内での認証・サポート体制はまだ整備途上です。導入にあたっては、制御インターフェース(CAN / RS485)の適合、必要な指先力・自由度、センサー構成を用途ごとに見極めることが重要です。
Hope-Robot mall では Linker Hand シリーズの選定から見積までサポートしています。用途に合うモデルが分からない場合は、[お問い合わせ]からご相談ください。
