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業務フローで見るロボット化 / アパレル・縫製

縫製工場裁断〜梱包ライン

裁断・ハンガー搬送・プレス・検針は専用機が担い、裁断品の一枚取りと縫製機への供給、本縫い、たたみには人が残っています。既存のミシンや芯貼り機の前に人の代わりに立てるヒューマノイドや協働ロボットなら、設備を入れ替えずに自動化を始められる点が大きなメリットです。

4工程・13作業をロボットに置き換えられます。

縫製工場の裁断〜梱包ラインの工程(反物搬送・検反・延反裁断・一枚取りと芯貼り・テンプレート縫製・本縫い・ハンガー搬送・プレス・検品・たたみと箱詰め)とロボットのイラスト

工程の流れ

工程を押すと、その工程の作業へ移動します。

  1. 1受入・検反1作業
  2. 2延反・裁断
  3. 3仕分け・芯貼り3作業
  4. 4パーツ縫製8作業
  5. 5本縫い
  6. 6工程間搬送
  7. 7プレス
  8. 8検品・検針
  9. 9たたみ・梱包1作業
ロボット化できる作業がある専用設備が担う人が担う

工程の出典:厚生労働省 職業解説 アパレル製造「検反・裁断」 / 厚生労働省 職業解説 アパレル製造「縫製」 / OSHIMA「A Step-by-Step Guide to Garment Production」

工程ごとの置き換え作業

人が今やっている作業のうち、ロボットが担っている実例があるものを工程ごとに挙げました。右のリンクから候補機種と導入実績へ進めます。

  1. 生地受入・検反

    反物を受け入れ、キズ・織りムラ・収縮などの生地不良を検反機で調べる。反物の倉庫→裁断室の運搬と裁断機へのセットは人。

    ロボット化
    • 製品あり(導入事例未確認)自律走行搬送ロボットロボットアーム反物の入出庫・倉庫内ピッキングと、裁断機・ミシンへの生地の自動供給・排出

      三明「アパレル製造向け 全方位移動型 AMR+人協働ロボット」。ダイヘン AiTran(全方位移動・カメラ位置決め・無線給電で 24 時間稼働)に安川 MOTOMAN-HC10 を載せ、生地の入出庫・裁断機やミシンへの供給・排出を想定。導入事例は未掲載。

      出典:三明(イプロス)

  2. マーキング・延反・裁断

    CAD で型入れ(マーキング)し、延反機で張力をかけずに反物を積層し、自動裁断機(CAM)で裁断する。地の目・柄合わせの判断は人。

    専用設備

    自動延反機・自動裁断機という専用機が担う(川上製作所は原反投入〜延反〜裁断の自動化、島精機 P-CAM はミドリ安全のベトナム工場に導入)。ロボットアームの出番はない。

  3. 裁断品の仕分け・一枚取り・芯貼り

    裁断品を反別・色別・サイズ別に一揃えに組み、束から一枚ずつ取り出して芯貼りプレスにかける。束からの一枚取り(枚葉分離)は人の指先。

    ロボット化
  4. パーツ縫製(ポケット・ファスナー・テンプレート縫製)

    ポケット・カフス・前立てなどの部品を専用ミシンやテンプレート縫製機で縫う。部品のセット、テンプレートの開閉・載せ替え、取り出しは人。

    ロボット化
    • 国内導入済みロボットアームジーンズの前立てへのファスナーの位置決め・縫い付け・端かがり

      JUKI×YKK のジーンズ用ファスナー自動縫い付け機。ロボットアームによる縫製と生地の自動搬送を組み合わせ、ファスナーと前立ての位置合わせ・縫い付け・端かがりを自動化。顧客のジーンズ縫製工場が 2018-10 に導入し生産開始(2019-03 発表)。

      出典:JUKI ニュース (2019-03-05)

    • 製品あり(導入事例未確認)ロボットアームテンプレート縫製機 3 台の間でテンプレートを載せ替える

      Jack(中国・ミシン大手)が Huawei と開発したロボットアーム付き自動テンプレート縫製機。アーム 1 本で 3 台のミシンにテンプレートを載せ替え、ヘッドのカメラが柄を認識して縫う(CISMA 2019 出展)。導入先は未確認。

      出典:Apparel Resources CISMA 2019

    • PoC・実証段階ヒューマノイドテンプレート縫製機・ポケットセッターへの生地のセットと取り出し

      Aitu(浙江省)のヒューマノイドが Sunrise Group・Eifini・Chenfeng Group で試験中(2026-07)。テンプレート縫製機への生地のセット・取り出しとポケットセッターへの位置決めを担当。同社は 2026〜28 年を単工程の検証期間、複数工程の連携は 2028〜30 年と見込む。

      出典:Xinhua (2026-07-24) / 浙江在線 (2026-08-25)

    • PoC・実証段階ヒューマノイドテンプレート機の開閉・生地の積み重ね・取り出しを一連で行う

      浙江ヒューマノイドロボット革新センターの「NAVIAI」。Jack Technology が 2,000 台を発注(2026-05 発表、Siemens が統合パートナー)。2024-09 に開発着手、テンプレート機操作の方式は 2025-07 に PoC 完了。襟・ポケットの裁断片の位置合わせ ±2mm、単動作 10 秒未満が要件。納入時期・稼働台数は未公表。

      出典:humanoid.guide (2026-05) / eWeek (2026-07-29)

    • 製品あり(導入事例未確認)ロボットアームポケット裾縫い機へのポケットの供給と、縫製後の整列スタック

      Vibemac(ジーンズ自動機)の V700 ポケット裾縫い機の改良版。4 口の供給ステーションからロボットアームがポケットを搬送ベルトへ移し、縫製後はアンローダーがストレージディスクに順に積む(2019-01 インタビュー)。導入先は未確認。

      出典:Apparel Resources (2019-01-14)

    • 製品あり(導入事例未確認)ロボットアームTシャツの袖付け・ラベル付けなどのパーツ縫製をビジョン付き縫製ロボで行う

      SoftWear Automation(米アトランタ)「Sewbot」。真空グリッパ付き 4 軸アームが布パネルを縫製台へ運び、マイクロマニピュレータがミシンへ送る。中国・天源服装の米アーカンソー工場に 21 ライン・22 秒/枚の計画(2018-01 報道)。当時の稼働実績はバスマット・枕カバー・タオルで、Tシャツは開発中。同社は現在 Sewbot による Tシャツのオンデマンド生産を掲げる。

      出典:IEEE Spectrum (2018-01) / SoftWear Automation

    • PoC・実証段階ロボットアームハンガーに掛けたTシャツを裏返し、裾縫いミシンへ双腕で供給

      INESC TEC・ポルト大学・ESI Robotics(ポルトガル)。ABB YuMi 双腕が自動ハンガーで裏返したノースリーブTシャツを SiRUBA 裾縫い機へ供給。供給成功率 98%(84/86)、供給+縫製で 35 秒未満。縫い上がりまでの成功率は 76%で、量産セルへの統合は今後(ICINCO 2025)。

      出典:ICINCO 2025 論文

    • PoC・実証段階ロボットアーム水溶性の糊で布を一時的に硬化させ、産業用アームで縫う

      Sewbo(米シアトル)。ポリビニルアルコールで硬化させた裁断片を UR5 が吸着で取り、家庭用ミシンへ送って Tシャツ 1 着を縫製(2016-09)。縫製後に温水で糊を落とす。コーティング生地・革は不可。その後の商用化は未確認。

      出典:FashionUnited (2016-09)

  5. 組立縫製(本縫い・ライン縫製)

    前後身頃・袖・襟を分業のラインで縫い合わせる。オペレーターが生地を手で送り、裏返し、カーブや合印を合わせる。

    人が担う

    柔らかい生地を裏返す・合印を合わせるなど繊細な手さばきが要り、多品種で段取りが頻繁。既存の縫製ロボットも本格普及に至っていない(JUKI、2015)。Aitu も「全工程の無人化は未達」としている。

  6. 工程間搬送(ハンガーシステム)

    縫いかけの半製品をハンガーに掛け、縫製工程間を天井レールで自動搬送する。ハンガーへの掛け外しは人。

    専用設備

    INA(中国)などのハンガーシステムが担う(INA はインドだけで約 1,000 ステーション)。JUKI も Non-Sewing(裁断・搬送・仕上げ)としてハンガーを提案。AMR は製品段階(三明)。

  7. プレス仕上げ

    縫い上がった製品をカフス・ポケット・シャツ用のプレス機や仕上げ機でプレスする。製品のセットは人。

    専用設備

    シャツ仕上げ機・自動カフスプレス(最大 350 枚/h)などの専用機が担う。プレスを行うロボットアームの量産導入は未確認。

  8. 検品・検針

    目視・触診で縫い目・汚れ・キズを検査し、寸法を測り、コンベア検針機で折れ針・異物を検出する。

    専用設備

    検針はコンベア検針機(サンコウ電子 APA シリーズ等)、寸法はカメラ式検査機(Dongguan Yunji Zhihui、Tシャツ 15 寸法を 6 秒/枚)が担う。外観の目視検査は人。

  9. たたみ・袋詰め・箱詰め・出荷

    製品をたたみ、タグを付けて袋詰めし、箱詰めして出荷する。折りたたみ・袋詰め機への製品の投入と箱詰めは人。

    ロボット化
    • 海外実績ありロボットアーム折りたたみ機への製品の投入(シワを付けずに広げて供給)

      Greif Textile Mietsysteme(ドイツ・工業用ランドリー、近接事例)× sewts「VELUM」。FANUC M-10iD×2 台と 3D カメラで布の縁・角を見つけて把持し、タオル・シーツを折りたたみ機へ投入。500〜600 枚/h、2022-11 稼働。衣料への展開は同社の次の目標。

      出典:IFR 事例

一覧

工程ロボット化できる作業段階ロボット種別用途ページ
1. 生地受入・検反反物の入出庫・倉庫内ピッキングと、裁断機・ミシンへの生地の自動供給・排出製品あり(導入事例未確認)自律走行搬送ロボットロボットアーム工場内搬送
3. 裁断品の仕分け・一枚取り・芯貼り裁断品の束から一枚ずつ取り上げて次工程(縫製・芯貼り)へ置く海外実績ありロボットアーム原材料投入・供給
3. 裁断品の仕分け・一枚取り・芯貼り芯貼りプレスへの裁断品のピック&プレースPoC・実証段階ヒューマノイド組立・加工
3. 裁断品の仕分け・一枚取り・芯貼り積層生地の最上層だけをシワなく把持するロボットハンドPoC・実証段階ロボットハンドロボットアーム組立・加工
4. パーツ縫製(ポケット・ファスナー・テンプレート縫製)ジーンズの前立てへのファスナーの位置決め・縫い付け・端かがり国内導入済みロボットアーム組立・加工
4. パーツ縫製(ポケット・ファスナー・テンプレート縫製)テンプレート縫製機 3 台の間でテンプレートを載せ替える製品あり(導入事例未確認)ロボットアーム組立・加工
4. パーツ縫製(ポケット・ファスナー・テンプレート縫製)テンプレート縫製機・ポケットセッターへの生地のセットと取り出しPoC・実証段階ヒューマノイド組立・加工
4. パーツ縫製(ポケット・ファスナー・テンプレート縫製)テンプレート機の開閉・生地の積み重ね・取り出しを一連で行うPoC・実証段階ヒューマノイド組立・加工
4. パーツ縫製(ポケット・ファスナー・テンプレート縫製)ポケット裾縫い機へのポケットの供給と、縫製後の整列スタック製品あり(導入事例未確認)ロボットアーム原材料投入・供給
4. パーツ縫製(ポケット・ファスナー・テンプレート縫製)Tシャツの袖付け・ラベル付けなどのパーツ縫製をビジョン付き縫製ロボで行う製品あり(導入事例未確認)ロボットアーム組立・加工
4. パーツ縫製(ポケット・ファスナー・テンプレート縫製)ハンガーに掛けたTシャツを裏返し、裾縫いミシンへ双腕で供給PoC・実証段階ロボットアーム原材料投入・供給
4. パーツ縫製(ポケット・ファスナー・テンプレート縫製)水溶性の糊で布を一時的に硬化させ、産業用アームで縫うPoC・実証段階ロボットアーム組立・加工
9. たたみ・袋詰め・箱詰め・出荷折りたたみ機への製品の投入(シワを付けずに広げて供給)海外実績ありロボットアーム原材料投入・供給

導入前の確認点

  • 一枚取り(枚葉分離)が最大の難所:裁断品の束から最上層だけを取る作業は、気流・ローラー・吸着などグリッパー方式を生地ごとに選ぶ必要がある(Robotextile は 4 方式、100 種以上の生地で検証)。
  • 成功率は品番・素材ごとに変わる:Aitu の 97% は「1 品番・1 素材」の値。対象 SKU と生地を絞って PoC し、コーティング生地・革など方式に合わない素材を事前に除く。
  • 自由縫製より専用機への供給から:実績があるのはテンプレート縫製機・ポケット裾縫い機・ファスナー付け機など専用機へのロボット供給・載せ替え。治具レスの自動縫製は研究段階。
  • 裁断は CAM、搬送はハンガーが先:延反・裁断は自動機が担い、ロボットは不要。工程間搬送もハンガーシステムが主流で、AMR+協働ロボットは製品段階(三明)。
  • ヒューマノイドは PoC 扱い:Jack の 2,000 台発注も納入時期・稼働台数は未公表。位置合わせ ±2mm・単動作 10 秒未満などの要件と、投資回収(Aitu 試算 18 か月)を自社ラインで検証する。

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